干支と西暦の山に登る「荏原山歩会」だより


2002年6月29・30日
あこがれの名峰 岐阜県上宝村・長野県 槍ヶ岳(3180m)


あこがれの名峰「槍ヶ岳」、昨年から一緒に行こうと言っていながら、行く機会が無くのびのびになっていましたが、春先に今年は雪解けが早そうなので、梅雨の晴れ間でも行けるのではないかと計画しました。しかしその後、少雨のため標高の高い所では例年より残雪が多く、予想外れの残雪山行になってしまいました。

天気予報によると29日は、日中は晴れ遅くに雨、30日は曇り又は雨と云う事で、何とか登り中だけでも雨に会わない事を期待しての出発です。

ロープウェイ乗場の上1100m辺りに有るゲートまで行こうとしたのですが、残念ながら、砂防工事中のため通行止めとなったおり、仕方なく無料駐車場に戻って出発準備になってしまいました。

4:00ヘッドライトを点灯しての出発でしたが、少し歩くと明るくなってライト要らずになりました。
車道を黙々と歩き穂高平小屋前で1回目の休憩、更に車道歩きは続きます。車道脇は沢クルミの多い樹林になっていて、所々に幹周1.5m程度のブナも見えていますが、純林にはなっていません。

6:00順調に白出沢に着き、朝食を済ませて先に進みます。白出沢から先は車道が無くなり、岩の多い登山道に変り、緩い傾斜を川沿いに登って行きます。シラビソ大木林にブナが混じると云う、少し変った樹林を行き、次第にブナは見えなくなって、ダケカンバが多くなって来ます。

滝谷

岩にチビ沢と書かれた沢を過ぎ、30分ほど登ると、ルート中の難所の一つ、滝谷に出会います。
橋は?と探しますが、今はまだ時期が早いためか橋が見当たりません。水嵩が多ければ大変ですが、今日は幸い少ないので、岩伝いに対岸に渡る事が出来ました。

登山道は岩が転がって歩き難い道に変わり、バランス取りに気を使い、そろそろ疲れが見え始めます。しかし、まだまだ先は長く、疲れたとは言っていられません。

槍平小屋

離れていた主流が登山道と同じ高さになり、流れがゆるくなったと思ったら、谷が大きく開き別天地の様な場所に出ます。
そこが槍平で、足元にはニリンソウが咲き、桜が満開で出迎えてくれました。
8:50槍平小屋に到着、朝食の時間が短かったり、休憩時間が少なかったので、予定より早くの到着でした。
キヌガサソウ・サンカヨウ・オオバミゾホウズキ
などの花が咲いて、完全に夏道になっているかと思えば、残雪もかなり多い所が有って、登山道が判り難い所が出て来たりします。それでも危険な傾斜をトラバースする所などは無く、2200m辺りの水場までは楽に登る事が出来ました。
水場では昨日から登って下山していると云う、4人グループに出合いました。これが今日始めで最後の登山者との出合いでした。

水場を過ぎると、いよいよ急登の開始です。残雪も次第に多くなり、2450mの標識の近くまで登ると、残雪が連続する様になってアイゼンを付けました。
今日の昼食予定は、千丈乗越分岐辺りの予定です。しかし、残雪に覆われているのか目安にしている岩が見当たらないので、標高2550m辺りの残雪の切れた所で12:00となり昼食にしました。

雪渓の登り

飛騨乗越までの残り標高差450mうまく行けば2時間程度で登れるはずです。
急な残雪の斜面を登り始めます。先程出合った4人組のグリセード跡は少し残っていますが、今日は登った人がいないのか、登りのステップは全く無く、新しくステップを刻みながらの登りは疲れます。

昼食まで元気だった一人が登る速さが遅くなり始めて辛そうです。しかし、峠まではもう少し、何とかなるだろうと、残雪の切れた所で待つ事にしました。
ようやく追い着いて来たので聞いて見ると、どうやら高度障害が出ている様で、息苦しさと吐き気がする様です。他の人が酸素を持って来ていたので、それを使いながら何とか峠に登りきりました。

昼食を終えた頃からガスが出始め、今日も明日も頂上の展望は出来ないかと思っていましたが、峠からは槍ヶ岳頂上の雄姿を見せていました。
初めて真近で見る槍ヶ岳にすっかり圧倒されたか、登る楽しみが湧くと云うより、あんな険しい所に登れるだろうかとの、不安が先に立ってしまった様です。

ここまで登ればもう小屋もすぐそこです。高度障害の一人も何とか登り、3:30小屋に到着でした。

今日は頂上に登らないのかと思いましたが、小屋に到着してしばらくすると、一人が頂上に行きたいと云う事になり、記念登頂をする事が出来ました。残り2人は、高度障害と高所障害?のため、頂上に向かう事は出来ませんでした。

明けて30日は天気予報が大きく外れ、富士山まで展望の出来る絶好の天気でした。高度障害だった1人は回復したのですが、代わってもう一人は不調を訴え、頂上へ向う意思は無く、昨日登頂をした1人も再登頂をせず、小屋付近の展望を楽しんで、下山する事にしました。

下山時の雪渓下りでは、滑落の真似事が有ったりしましたが、何はともあれ、全員無事下山し、温泉に浸かって帰途に付いたのでした。

時 間:
2:00富山−3:40新穂高無料駐車場4:00−6:00白出沢(1550m)6:20−8:00滝谷(1750m)−8:50槍平小屋(1980m)9:00−10:00最終水場(2200m)−12:00千丈乗越分岐(2550m)12:40−15:30槍ヶ岳山荘(3080m)15:40−16:00槍ヶ岳頂上(3180m)

7:00小屋−9:00最終水場−10:00槍平小屋−11:20滝谷12:00−12:50白出沢−14:50駐車場

登山道(槍ヶ岳山荘まで):2000m以上では残雪が多く、ガスが濃いと迷う可能性有り、残雪が無く沢に大水が流れていなければ、特に危険な個所は無い。

水 場:登山道途中に沢多い、最終水場は2200m辺り



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