干支と西暦の山に登る「荏原山歩会」だより


「有名な山旅」 岐阜県・長野県 槍ヶ岳 3180m


【日 程】1998年07月11日・12日
【山 域】北アルプス岐阜県上宝村
【山 名】槍ヶ岳(3180m)
【地 図】1/2万5千:槍ヶ岳、穂高岳、笠ヶ岳、
【交 通】マイカーでR41・R471経由、栃尾温泉より新穂高温泉に。
【水 場】沢を行くので水場多い、≒2200m辺りが最後の水場
【メンバ】富山橋M・W、春田M、藤木W、砂田W、大石Wの6人
【天 候】11日:曇り一時晴れ、12日:晴れ〜時々曇り
【タイム】今回 登り12:20 下り8:30
     通常 登り 9:00 下り6:10(岐阜の山より)
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
北アルプス槍ヶ岳、相当な遠くからでも、そしてどの方角から見ても、あの鋭い
穂先を変える事無く、それが始めて見る者でも「槍ヶ岳」と、すぐに判るくらい
に特徴のある山容で、富士山に匹敵するほど良く知られている山と言えよう。そ
れだけに、槍ヶ岳を眺め「あの頂に一度は立ってみたい」、と思った人も多い事
だろう。と深田久弥が書いている山です。

今回はその憧れの槍ヶ岳へ行きたいと言う、「荏原山歩会」のメンバの希望が有
って、飛騨沢ルートで一泊の山行を試みる事になりました。

7月11日
2:10荏原公民館前出発→3:50右俣林道ゲート到着


04:00 林道ゲート出発(1180m)
天候曇り、曇っていなければ、もうライトも要らない程明るいはですが、ライト
を点灯して出発、前日の大雨で水嵩が増したか、右俣の川音は何時にも増して大
きな水音で、何回か渡る沢の水嵩は大丈夫かと気にかかります。

車のライトで準備 林道が長い


10分も歩いた所でもう明るくなり、ライトは要らなくなり、林道が右に折返し
て沢から離れようとする所に、穂高平まで5分の案内板が有り、ゆっくり歩いて
その程度の時間で小屋前に着きます。

04:50 穂高平小屋(1350m)
放牧場が有り、道路を挟んだ所に穂高平避難小屋が有ります。まだシーズン前な
のでしょうか、小屋には人の気配は有りませんが、車が一台駐車していました。
第一回の休憩ポイントにちょうど良いので、今日もここで休憩とし、調子を整え
る事にします。

繁殖期も終りに近付いたか、何やらのんびり聞える小鳥のさえずりを聞き、ゆっ
たりとした気分になり、林道の続きへと入って行きます。

05:50 白出小屋・奥穂高登山口・白出沢(1550m)
小屋前(奥穂高登山口)を通り過ぎると林道終点、白出沢に出合います。沢水は
流れていますが、心配していた程の水量は無いので一安心でした。
沢を渡って対岸のマークから登山道に変り、針葉樹林に付けられた登山道は、か
なり広い道で良く踏まれてはいますが、土よりも石が多く、歩くには快適とは言
えません。しかし、次第に花も目に付く様になって、センジュカンビの白い花と、
タマガワホトトギスの黄色い花が感心を集めている様です。

06:50 チビ谷(1660m)
大きな岩の隙間が、岩屋の様になった前を通り過ぎると、次の沢、チビ谷に出合
います。
この沢もいつもは流れが見えないはずですが、今日は僅かですが水の流れが残っ
ています。しかし、徒渉には全く問題は有りません。

少し疲れが出始めたか、空腹を感じ始めたのか、後ろに付いてくるメンバーが心
なしか元気が無くなった様に感じますが、滝谷が僅かに見える場所で、後15分
で滝谷」などと声をかけ、元気を出して歩を進めました。

07:50 滝谷避難小屋(1750m)〜08:30
滝谷の左岸に建てられた、ブロック造の小さな小屋が避難小屋で、かなり老朽化
していますが、まだ避難には充分使えます。誰かが掃除をしてくれたのか、先回
覗いた時のゴミは無く、綺麗に整頓されていました。
持って来た明日(12日)の昼食をサブザックに詰め、小屋の壁に吊下げてデポ
して置きました。

滝谷は常時急流が流れていますが、今日はさすがに水量多く、橋は大丈夫かと思
わせます。
2つの流れになっており、1つの流れを渡りいつも橋の有る大岩付近を探します
が橋が見当らず少々焦りました。しかし、良く見ると上流の流れが1つになった
所で橋が架かっているのを見付けました。
何でマークが無いのだ」などと文句を言いながら元に戻り、橋を渡って対岸にた
どり着きました。

滝谷は今日も急流


対岸に出て1〜2分行くと、大岩に滝谷ルートの開拓者、藤木氏のレリーフがは
め込まれて有り、その付近には大量の清水が湧出しています。ここでしばらく休
憩とし朝食にしました。

朝食後出発して2〜3分して振向くと、後続が二人しか来ていません。おかしい
と思っていると、砂田Wさんの両足が攣ってしまったとの事で、ザックを春田M
さんのザックの上に担いで貰っているではありませんか。
思わぬアクシデントですが、空身なら歩けそうな様子なので、このままゆっくり
と進んで様子を見る事にしました。

09:00 涸れた沢(1830m)
無名の涸れ沢ですが、南沢との中間辺りにあって、右俣谷奥方向の展望が良いと
ですが、今日はガスのため展望は有りません。

09:20 南沢(1900m)
右俣本流とだいぶ離れたか、沢音が遠くなった所で涸れ沢に出合いました。大き
な石に南沢と書いて有り、沢を登る様に進みますが、すぐに渡って、溝のように
なった登山道を行き、左に大きな滝音を聞きながら登ると、右俣本流の水際に出
て、槍平の入口でした。

09:50 槍平・槍平小屋(1980m)〜10:00
平坦な場所になり、広い河原と緩い流れに沿うように行くと、間もなく槍平小屋
が見え、2人分の荷物を担いで自分のペースで登った春田さんが待っている所に
出合いました。

予定通りの行程で来ているので、しばらく休憩をした後、キャンプ場に出て槍ヶ
岳・南岳・奥丸山の分岐道標に従い、本流に沿って槍ヶ岳に向います。
不調の砂田Wさんも多少持直したか、ザックを担いで登り始めたので、まあ何と
かなるだろうと先を目指しました。

10:30 大喰沢(オオバミザワ・2150m)
この飛騨沢ルートは、幾つも渡る大きな涸れ沢がポイントになっています。その
涸れ沢も大喰沢が最後になるでしょう、ここも多少の流れが残っていますが、問
題なく渡り終え、行程の後半に入りました。

11:00 最後の水場(2200m付近)〜11:10
小沢に清水が湧きだし、最終水場の表示がして有ります。渇水期には涸れてしま
うかも知れませんが、今は冷たい清水が流れ出しています。

最終水場


緩かった登りもここでようやく終り、この先は登りも急になり始め、高度稼ぎも
少しは早くなります。しかし、同時に疲れも出てくるので、そう簡単には稼がせ
ては貰えるはずはありません。

12:20 標識(2450m)
目の前の景色を遮っていた中崎尾根が低くなり、西鎌尾根が見え始めると、樹林
が途切れ草地に変り、立派な道標に出会いました。
ここまで来るとさすがに高山植物も多くなり、トモエシオガマ・ヨツバシオガマ
・深山リンドウ・ハクサンイチゲ・チングルマなど、次々に現れ目を楽しませて
くれます。

12:50 千丈乗越分岐(2550m)〜13:10
ここで昼食の予定だったのですが、聞いてみると、朝が遅かったとかで、あまり
空腹を感じないと言います。相当消耗しているのか、食欲が出て来ないのかも知
れません。何か甘い物でも口に入れ、スタミナ温存を計らなくてはならないでし
ょう。

戦場乗越分岐辺りは花の道 2ザックを担いで先を行く春田さん


さあ、最後の頑張りと思って出発しましたが、調子の悪い砂田Wさんはここでも
う一度ザックを春田さんに預ける事になりました。

14:20 ハイマツ帯(2800m)
千丈乗越分岐から稜線までは特徴有るポイントは有りませんが、登山道がハイマ
ツ帯を通過している場所が有ります。
ここから稜線を見上げればもう近いのですが、この辺りが一番疲れも出るので、
行けども行けども先が遠く感じる所でしょう。

きゅ〜けい


15:20 飛騨沢乗越(3010m)
もうすぐそこに見えた飛騨沢乗越ですが、ようやく標識もはっきり見える様にな
り、やっと稜線に出ました。
今日はガスが多く表銀座の展望は有りませんが、眼下の槍沢には赤い屋根の山小
屋が目に入ります。右に見えるはずの大喰岳はガスに隠れて見えませんが、左を
見ると突上げているのが槍ヶ岳頂上でした。

飛騨沢乗越 頂上も姿を見せ


15:40 槍岳小屋(3080m)
小屋が見えるとさすがに元気が出るのか、先程までやっとの様に動かしていた足
取りも軽やかになり、何事もなかったかの様に小屋に到着でした。

夕方になるに従い展望も広がり、小屋前でゆっくり休憩を取り、夕日などを楽し
み、明日に備え早めに床に付きました。

小屋前で夕食 頂上もはっきりと


7月12日
04:15 頂上に向けて
そんなに良く眠れた訳では有りませんが、気が付いた時は4時、手早く準備をし
たつもりですが、外に出ると御来光寸前になっていました。頂上での御来光を見
る事はあきらめ、取りあえず、日の出直後の頂上に立つ事にして出発しました。

もうすぐ御来光 岩場もスイスイ


御来光に間に合わないものの、出来るだけ早く頂上に達したいと思っているのか、
女性達は急な岩場を物ともせず、ただ黙々と登り続けます。岩を掴みチェーンに
頼り、梯子を登って頂上直下の最後の梯子に達しました。
登頂一番乗りは、一番先輩でも有り昨日の登りで、くじけそうになりながらも頑
張った、砂田Wさんにしました。 
 

先頭が砂田さん


04:55 槍ヶ岳頂上(3180m)〜5:20
最後の梯子を登れば、遠くから見て想像するよりは広い頂上、もう御来光の瞬間
を10分も過ぎているので、頂上に残った人数は10人以上、女性達は早速祠の
前に集り念入りに祈りを捧げています。

あさひ〜 お参り


記念撮影を済まし展望を楽しむ事にしましょう。
素晴しい展望の頂上からは、穂高連峰と遠く南アルプス方向が良く見える様で、
富士山も薄い影を見せていました。
笠ヶ岳や乗鞍岳・御嶽も見えていますが、立山方向はガスに隠れてしまい、ガス
の切れ目からチラリと見えるのは、水晶岳と鷲羽岳でしょう。

憧れの槍ヶ岳頂上に立った事で満足が出来たか、ここまで登って自信も付いたか、
下りも登り同様、梯子やチェーンを頼りに、特別恐れる事もなく難なく下山でし
た。

05:50 小屋・朝食
小屋の前で、昨日のおにぎりの残りなど、持ち合せの食材を雑炊にした朝食に舌
鼓を打ち、長い下山に備えました。

 07:00 下山
感動を与えてくれた頂上に別れを告げ、予定の15:30分に林道ゲート着を目
指します。

これで下山です


08:20千丈乗越分岐(2550m)→10:00槍平(1980m)〜10:20 →

11:20 滝谷避難小屋(1750m)〜12:15
順調にここまで下山、避難小屋に置いて有った食材で、楽しい食事をしました。
それにしても食材が多過ぎます、全員が自分が食べる以上に持って来ており、殆
どが残ってしまう量です。他人の分まで気を使う事は結構な事ですが、心を鬼に
して最低限に絞り込む事も考えなくてはならないのではないでしょうか。
と言いながらも、出てくる物は美味しく楽しくいただき、満腹にさせて貰いまし
た。

デポした食料をいただきました


13:45 5白出小屋(1550m)

15:20 林道ゲート(1180m)
予定通り全員無事の下山、おめでとう!!
温泉にでも浸かり、少しでも疲れを癒して帰る事にしましょう。

ゲート到着、ご苦労さま


後記
始めての5人には憧れの槍ヶ岳、体調不良で途中ザックを持って貰う事も有りま
したが、無事に登り終えて大いに自身を持った事でしょう。又、槍ヶ岳から見た
山々は殆どが登った事のない山々だったはず、次ぎに行きたい山もますます多く
なったに違いないと思います。
    「世に人の 恐るる嶺の槍の穂も やがて登らん我に初めて」
    「極楽の 花の台か槍ヶ岳 のぼりてみれば見えぬ里なし」
槍ヶ岳、その山容は登山者の憧れ、標高3180m、初めてその穂先に立ったの
は、江戸後期の山岳修行僧、播隆上人でした。
播隆上人は我が郷土富山県出身でした。命を懸けてこの槍ヶ岳に立ち向おうとし、
無心の境地に入った時、ようやく頂上に立つ事が出来たと言われています。

                      1998年7月23日 富山橋



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