干支と西暦の山に登る「荏原山歩会」だより


「西暦の山旅」 新潟・福島 剣ヶ倉山断念 平ヶ岳


【日 程】1997年08月08、09、10日
【山 域】奥只見
【山 名】平ヶ岳(2141m)、剣ヶ倉山(けんがくらやま)1997m
【地 図】1/2万5千:奥只見、平ヶ岳、尾瀬ヶ原
【交 通】マイクロバスで富山よりH北陸とH関越で堀之内経由、
     R253で銀山平まで。
【水 場】林道終点と頂上近くに水場有り
【メンバ】荏原山歩会の金森M・W、砂田W、富山橋M・W、春田M、大石W、
     金井W、藤木W、開Wの10人
【天 候】晴れ
【タイム】平ヶ岳まで
     今回=登り5:15・昼食、剣ヶ倉など2:10 下り4:00
     通常=登り3:30              下り2:20
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
西暦1997年の山「剣ヶ倉山」、地図表記は1997.5mですが、点の記に
は1997.47mと記録しているので、1998より1997に近いと云う事
で、他にこれより標高の近い山が無いので、今年の山としています。
平ヶ岳は百名山として知られ、登山道に全く問題は有りませんが、その先剣ヶ倉
までは登山道は無く、踏み跡だけが頼りの山で、頂上に立つことは無理かも知れ
ませんが、事前の情報では、踏み跡が有り頂上を踏む事も可能との事で、計画の
実行となりました。


8月8日
21:25 富山市を出発
台風が九州の西に有り、9日から10にかけて日本海を通過するとの予報が出て
いましたが、今日9日晴れ10日雨となっているので、晴れを信じ場合によって
は寸前の中止も覚悟をして出発でした。

23:10 上越IC----24:00 長岡JC

01:00 堀之内IC
R253への分岐を間違えて入り、道を訪ねようと地元の車を止めたところ、こ
の時間にも関わらず、車から降りてきて丁寧に教えて貰い、親切さに感心してR
253に入りまいした。
奥只見ダム堰堤へのトンネル道シルバーラインに入り、珍しいトンネル内の信号
で右折、橋を渡って左折すると銀山平に出ました。

01:50 銀山平
暗くて看板が見えず、目的の宿が判らないため、予定の時間になったら電話を入
れる事にして、しばらく仮眠を取る事にしました。
3:30過ぎに電話を入れ宿に入ると、主人は今や遅しと待っており、すぐに準
備を整えて出発する事になりました。

04:10 銀山平発(750m)
今夜の宿のマイロバスによる、中ノ岐川林道送迎を利用しています。一部の人だ
け利用すると云う、悪評高いルートですが、今回の登山は平ヶ岳では無く、その
先剣ヶ倉山が目的のため、富山から1泊とした場合、時間節約のために考えた苦
肉の策で、悪評高くてもこのルートを利用せざるを得ません。

05:35 車止め(1100m)
昨年の崩落で橋が流失し、工事中の場所で車止めになっており、ここから林道歩
きになりました。
前方を見上げると突上げているのが剣ヶ倉山で、その左に平らな稜線が見えるの
が平ヶ岳、どの位置を歩いているのか確認しようとしますが、橋に書かれた沢名
と地図の沢名が一致せず、おおよその見当を付けながら林道を行きます。

06:25 林道終点・取付き口(1270m)
3Km、1時間弱の林道歩きは予定に有りませんでした。思わぬ長い林道歩きに
閉口しましたが、ようやくここから登山道、沢の左岸を5分も行くと、丸太の1
本橋になりロープに掴まって右岸に渡ります。
本流を外れて支流を登って行くと、道は本流と支流の間の尾根に登る様になりま
す。
ここからは急登になり、樹林に付けられ比較的良く踏まれた道を登って行きます。
樹林はブナ混じりの雑木ですが、太い物は見られず、遠くにブナ林らしき樹林が
見えても、20〜30センチの細いブナばかりの様です。

06:55 朝食(1435m)
平坦地が見えたら朝食にしようと思っていましたが、急傾斜が続くのでここで朝
食にしました。

07:20 展望台(1500m)
枯れ大木とシャクナゲの茂る展望台の様な場所が有り、平岳沢の対岸に剣ヶ倉山
が突上げているのが見え、左の稜線上には2072mのピークが有り、その左が
平ヶ岳ですが、頂上が見えているのかどうかは不明です。

花はとっくに終っていますが、見事なシャクナゲ林と言って良いほどの、シャク
ナゲの生える尾根道を登って行きます。ヒノキ系の大木やら径40〜50センチ
のブナが見えたりしますが、相変らず雑木の樹林の道になっています。

1700m辺りに来ると、樹林もオオシラビソらしき樹木が多くなり、少しは高
山の雰囲気になって来ました。 

09:10 休憩(1950m)
登山道は地図上の何処に付けられているのかはっきりしませんが、1850m辺
りからは傾斜も緩くなるはずと予測していましたが、予想通り傾斜が緩くなり初
め、もうすぐ樹林限界と思われ、もう少し先に行きたいところですが、ここらで
大休憩となったしまいました。
50分前の休憩では特別の変化は無かったのですが、ここに来て2人が5分も待
っても表れ無いと云うハプニングが有りました。表れた時は、サポートの春田さ
んが2個のザックを担ぎ、空荷の一人は何時になく弱気の言葉を吐きながらの登
場で、皆に大いに冷かされています。しかし、ここからは再びザックを担ぎ、
その後は何事も無く行動出来たので一安心でした。
 
09:45 玉子石分岐(2050m)
突然目の前が開け、大高原が目に飛込んで来ました。出たところは玉子石への分
岐標柱の有る場所で、木道が敷かれ右は玉子石、左は頂上で平坦な山容が近くに
見えています。
池塘があちこちに有り、草原にはキンコウカ・タテヤマリンドウ・イワショウブ
などが咲き、遠望も効いています。この光景を見た面々は急に元気になり、今ま
での重い足取りもどこかに消えた様子でした。

斜面に付けられた木道を行くと、コバイケソウの群生地に出会い、ハクサンボウ
フウ・シラネニンジンも入り混じって群生し、鷹ノ巣からの登山道に出会うと、
ハクサンフウロのピンク色も出て、にぎやかになりました。

10:15 水場(2000m)
少し沢に向って下り、頂上下の水場に出会います。もう時間も押して来たのでこ
こにザックを置き、軽荷で平ヶ岳の頂上とその先何処まで行けるか伺って見る事
にしました。
道はしばらく樹林に入り、やがて視界が広がったところが頂上台地、キンコウカ
の群生を見ながら木道を行くと、尾瀬方向の展望が開け、尾瀬に向ってゆったり
と下る尾根が目に入ります。
この尾根こそ今年の残雪期に山SIGの面々がスキー登降し、バラレルさんが感
涙にむせんだ(?)と云う、感動の尾根でしょう。

10:50 平ヶ岳三角点頂上・最高点(2141m)
三角点は樹林に囲まれており視界は効かないので、記念撮影を済ますと視界の良
い最高点に移動、先程の感動の尾根の先に見える至仏山と燧ヶ岳を眺め、目を転
じて越後三山の八海山や駒ヶ岳を眺めます。
多くの山々が見えていますが、今日は時間が少なく、地図も揃っていないので、
山の同定は止め、素晴しい展望だけを楽しませて貰いました。

剣ヶ倉山は2072mピークの陰になり、今はその山容を見せませんが、207
2mピークまででも相当の距離があり、とても今日これからの目標に出来そうも
有りません。
しかしこのまま帰っては言訳が難しいかと、2072mピークに向けて踏込んで
見る事にしました。この先通行禁止の標柱に気が引けますが、踏み跡をたどって
進み5分も行くと笹藪に変り始め、次第に藪が深くなって行きました。
鞍部では背丈を超える竹藪になり、滑ったり転んだり引っかかったりの難行にな
り、やっと抜け出た所に草原が有り、ここで意欲も時間も無くなりました。

12:00 2072mピーク
2072mピークに登って見ますが、樹木と藪が茂り展望無しの状態で、剣ヶ倉
山も見えないまでとなっており、納得して今日はこれまでと決定、記念撮影をし、
仮昼食をして帰りの藪こぎに入ったのでした。

13:00 平ヶ岳頂上(2141m)

13:30 水場(2000m)
冷して有ったビールでほろ苦い乾杯をし、手早く昼食を済ませて下山にしました。
車止めに到着予定は2時間遅れの17時が予想され、宿の主人に少しでも迷惑を
かけない様にと、春田さんに先行して貰う事にしました。

14:00 下山----15:40 展望台----16:20 林道終点

17:00 車止め(1100m)
2時間遅れの到着、先行して貰った春田さんが1時間遅れの到着で、迎えに出て
貰った宿の主人に悪い事をしてしまいました。

18:10 銀山平
車で10分程の所に無料(心付のみ)の温泉が有り、アブの飛交う温泉でしがたっ
ぷりの温泉につかり、さっぱりして宿に入りました。
宿は「奥只見山荘」となっていますが、登山の宿と云うより奥只見湖の釣人用の
宿で、玄関には無数の魚拓が飾付けられ、場違いの様に感じるます、料理旨く料
金手頃で、ゆっくりと酒を味わい、ゆったりと休ませて貰いました。


後記
今回の山行は少々みじめでした。情報が少ないため平ヶ岳から剣ヶ倉までの踏み
跡の状態が判らず、登山道並の踏み跡が出来ていると判断し、行程の所要時間に
余裕を持たずに剣ヶ倉山まで目指し、計画より相当に多くの時間を要した事。一
番情報が確実なはずの、銀山平から取付きまでのアプローチに、1時間もの誤差
が有った事。その他、全体に所要時間が長くかかった事など、最初から無理な部
分が多かった様に思えます。
この様な誤報を取得したり、確認を怠る様な事が有ると、重大事故につながる事
も考えられ、今後この様な事が無い様、猛反省をしなければならないでしょう。

しかし、平ヶ岳だけを考えると素晴しい山でした。頂上付近の広大な高原、少し
時期遅れになりましたが、今も咲く高山の花々、展望も尾瀬方向の山や越後三山
方向が見え、皇太子の登山で整備されたと云う木道は歩き易く、百名山と思わせ
る山の雰囲気を漂わせ、満足のいく山でした。
           1997年08月12日 富山橋


inserted by FC2 system